日銀は8日の金融政策決定会合で、量的・質的金融緩和の継続を全員一致で決めた。黒田東彦総裁は同日午後の記者会見で、緊迫度を増すイラクやウクライナ情勢などについて「地政学的リスクはこのところやや高まっている」と述べた上で、「世界経済に与える影響を今後よく注視していく」と表明した。 黒田総裁は、地政学的リスクに関して「日本経済への直接的な影響は今のところ差し迫っていない」と分析。8日の東京株式市場で株価が大幅下落したことを踏まえ、金融市場の動向を見守る考えを示した。 日銀は8日の決定会合でまとめた声明文で「基調的には緩やかな回復を続けている」との景気判断を据え置く一方、個別項目では、輸出や生産の判断を下方修正した。 黒田総裁は「このところ輸出や生産に弱めの動きがみられる」と述べる一方、「景気の前向きの循環メカニズムは作用し続けている」とも指摘。消費税増税の駆け込み需要の反動減についても「徐々に和らぎつつある。何か想定していなかったことが起きてはいない」と強調した。 金融政策に関しては「(2%の)物価目標達成についてリスクが生じれば、金融政策の調整は行う」との方針を改めて表明した。