いわば幻とも呼ばれた、その存在すらも眉唾物の大型街機遊戯台。
数基のみが出荷されたといわれ、これこそが唯一現存する筐体、ではあるのだが。
保存状態は決して良いものではなく、辛うじて電源は生きているものの画面には何も表示されない。
ボタンを押せども反応はなく、オープニングムービーの物であろう曲が垂れ流されるだけである。
その音ももはや錆びにまみれ、腐食に身を呑まれ鳴くのをやめる日も遠くはないだろう。
この筐体が音すらも発さなくなった時……それは姿そのものを消すときに他ならない。
……''幻想入り''という形によって。
誰もコンティニューできないのさ!