「松隣夜話」越前境宮野郷主中沢長兵衛、殊に豪強の士たり。信長より柴田修理を以って、様々手を入れ申さるるに依って、振方なく裏切の約束を致す。(略)一の太刀にて、肘の懸りをふつと斬つて落され二の太刀を以って、高紐の辺を横手切に、露も懸けず、三つに切つて離し給ふ。見る人、肝を消さぬはなし。即ち中条五郎右衛門・苦桃伊織に仰付けられ、中沢共の者五十余人、御坪の内に於て之を切害す。中条五郎右衛門疵を蒙る。苦桃衆・中条衆九人まで討たれ、片時の間に之を尽す。殊更見物目覚めたるは、苦桃伊織家来浄真といふ者、小太刀を以って走り回り、総て七人まで敵を討つに、皆余の所に切る事なし。一の腕・二の腕・高肘・手の首、一分も志す所を誤たず。(略)稀代の達人なり。
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