本当に大好きだったものは、またいつでも見ることができると思っていたから、写真は一枚も残ってない…。紺碧の凪ときらめく白い泡。霜が降りて輝く田圃と地熱で靄の立ちこめる雪化粧の山々。夜になると氷の結晶が舞い踊る路面。燃えるように湧き立つ高原の緑。いつもこちらを見透かすように見つめてくる数々の輝く眼…。頭には、心には、焼き付いてるんだ。ただそれを君に見せられないだけで。でもね、たとえ一度失われたって、必ずまた新たな景色が出来上がる。命は脈々と受け継がれる。傲れたぼくの頭だけれど、眠るたびに、大好きだったものたちが、ぼくの頭の中でそう語りかけてくるんだ。…そうして目覚めると、僕は新しい朝に立ち向かいに往く。■Mac音家、レラさん、ともに人力・UTAU-Synth併用■