本来、ハチャトゥリアンにはオリジナルのフルート協奏曲はありません。往年の名手、J.P.ランパルが曲を委嘱した際、作曲者自身が高齢のため既存のヴァイオリン協奏曲の編曲を勧められました。そのランパル版を元にして、重音やフルートの音域外音符の処理等異なる解釈により、現在では奏者毎の版があるようです。この演奏はパトリック・ガロワ本人が編曲した版を用い、カデンツァの一部で重音奏法を使うなど(といってもフルートの重音奏法なので明瞭で綺麗な音色というわけにはいきませんが…)、とても意欲的なアプローチになっています。