モーツァルトがヘンデルの大作「メサイア」を編曲したことは一般には意外と知られていません。ヘンデルはモーツァルトが三つになる年に亡くなりましたが、モーツァルトが大人になった時にはすでにヘンデルの時代とは楽器の状況がかなり異なっていました。モーツァルトは自分の時代に即した楽器編成と、オリジナルの英語テキストをドイツ語におきかえるなどして、当時のドイツでもより演奏しやすくすることなどを目的としたモーツァルト編曲版をつくりあげました。今回のこの「メサイア」の「ハレルヤ」はそのモーツァルト版によるもので、いわばこれは二人の音楽史上に残る巨人と天才の合作といえるものでしょう。