『銀河鉄道の夜』は未完成の作品で、研究が盛んで解釈も多い謎が深い作品です。私は中学時代から何度も原作や関連文献を読みました。「妹トシの死や、キリスト教と日蓮宗の価値観の違い、時代背景などから、人々の異なる幸せの形を受け入れ、全ての人の幸せを模索するために書かれた作品である。」これが私が長年の研究から出した解釈であり、今回の映像のテーマでもあります。ジョバンニが、カムパネルラや姉弟らを通して「全ての人の幸せのために生きたい」と思うこと、姉弟を誘うが拒まれること、カムパネルラの「本当のさいはいは一体何だろう」と直後の別れ、ブルカニロ博士の言葉を中心に、私の『銀河鉄道の夜』を描きました。 作者 大坪奈央