谷の底の小さな王国の王子、「シュナ」という青年の物語である。チベット民話「犬になった王子」(文:君島久子、岩波書店)が元となっている。麦を求めて王子が旅をするという民話で、『シュナの旅』も基本的に同じ構成ではあるが、登場人物・キャラクター等は宮崎独自のもの。『もののけ姫』の原点であり、設定やストーリーは大きく変更されているものの、登場人物やストーリーの一部に共通点を見ることができる。スタジオジブリのアニメ映画『ゲド戦記』では原案として使われ、「少年に救われた少女が、物語の最後で少年の心の光を取り戻す」というプロットが共通しているほか、「砂漠に乗り上げた船」「奴隷と人買い」など、映像面にも影響がみてとれる。