少しずつ春の足音が近づいてきたような、昨今にふさわしい曲をひとつ。メンデルスゾーンの「春の歌」は8巻からなる無言歌集の中でも、最もポピュラーで親しまれている曲です。最近では氷川きよしさんがCMで「♪黒豆ココア~」と歌っていましたね。メンデルスゾーンの時代はチェンバロからピアノへと鍵盤楽器が移っていく過度期で、人々が気軽にピアノを弾いて楽しみ始めた頃でもありました。「無言歌集」の名の通り、歌うような旋律が特徴のこの作品集は、ピアノ小品として親しみやすく、こうした時代のニーズにぴったりのものでした。ハープのような伴奏のアルペジオがとても印象的ですね。今回はヴァイオリンによる主旋律の演奏でお届けします。