日本銀行の黒田東彦総裁は3月2日、再任に向けた衆院議院運営委員会での所信聴取後の質疑で、物価目標2%の達成時期について「2019年度ごろには2%に達成する可能性が高いと確信している」と述べるとともに、19年度ごろに出口を検討していることは間違いないとの見通しを示した。
黒田総裁は「現時点では私も含め政策委員は2019年度ごろ2%程度に達するとみている」とし、「当然のことながら、出口というものをそのころ検討し、議論しているということは間違いない」と語った。日銀は1月の経済・物価情勢の展望で物価が「2%程度に達する時期は、19年度ごろになる可能性が高い」としている。
一方で、「今の時点で出口戦略をうんぬんすると、市場を混乱させる恐れもある」と述べ、「出口に差し掛かったところで、出口戦略についての議論を始め、必要な市場とのコミュニケーションを図っていくことになる」との認識を示した。 また、現行の金融政策からの出口戦略については物価2%の達成までかなり距離があることから、「直ちに出口を議論するのは適切ではない」とも指摘。日銀の財務にも配慮するが「最優先の使命は物価の安定」とし、出口の財務シミュレーションを示すことも適切ではないと語った。 黒田総裁は2013年3月の就任直後に、安倍晋三政権のデフレ脱却に向けたアベノミクスの実現のために量的・質的金融緩和を導入。2年をめどに2%の物価目標を達成すると宣言した。その後、マイナス金利や長短金利操作などの施策を相次ぎ導入したが、5年たった今も道半ばだ。 黒田総裁は所信聴取で現行の金融緩和政策の下で「物価が持続的に下落するデフレではなくなっており、人々のインフレ予想も上向いている」と総括。その上で、「粘り強く緩和を続けることで物価目標を達成できる。総仕上げを果たすべく全力で取り組む」と述べ、当面、金融緩和政策を継続する方針を明確にした。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-03-02/P4Y43X6JTSE801