ドイツ第2党のドイツ社会民主党(SPD)は3月4日、メルケル首相が率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との連立合意を党員投票で了承したと発表した。3月半ばにも第4次メルケル政権が発足し、5カ月以上続いた政治空白はようやく収束する。
両党は大連立政権の樹立で2月に合意したが、SPDは政権入りの是非を党員投票で最終判断すると表明していた。SPDが4日発表した投票結果によると、連立合意への賛成が66.02%、反対は33.98%だった。 SPDには若手を中心に、メルケル首相が主導する連立政権に入れば存在感が失われかねないとの連立反対論が強い。ただ、政権入りを拒めば安定政権樹立の道が閉ざされ、政治空白の長期化は避けられない。戦後のドイツ政治を支えた二大政党のひとつとして責任を投げ出すべきではないとの声が広がり、大連立の容認に傾いた。 週明けから政権発足に向けた動きが本格化する。まず大統領が首相候補を指名し、連邦議会(下院)で過半数の賛成を得て、新しい首相が誕生する。メルケル氏は3月半ばにも4度目の首相指名を受ける見通し。 閣僚人事で、CDUがアルトマイヤー官房長官を経済相に、シュパーン財務次官を保健相に起用する人事案を公表した。内相ポストを握るCSUは週明けに、財務相や外相を得たSPDも近く入閣者リストを明らかにする。 CDU・CSUとSPDは連邦議会で計399議席を有し、全議席(709議席)の56%を占める。ただ、第3党の極右「ドイツのための選択肢(AfD)」が野党第1党となり、国会論戦などで一段と存在感を高めるとの懸念もある。 欧州最大の経済大国ドイツがひとまず安定政権を得て、欧州政治の不安定化には歯止めがかかった。新政権は連立合意のなかで欧州統合に積極的な役割を果たすと約束しており、マクロン仏大統領が唱えるユーロ圏改革にも追い風だ。 もっとも、メルケル氏は2017年9月の連邦議会選挙で議席を減らし、政権協議の迷走で支持を落とした。これまでのような強い指導力を発揮できるかは不透明だ。メルケル氏が首相を務めるのは今回が最後とされ、求心力の低下は避けられない。次の選挙がある4年後まで首相にとどまれない可能性もある。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2767991004032018MM8000/