学校法人「森友学園」との土地取引に関する決裁文書書き換え問題で、財務省近畿財務局が2015年6月頃にも、決裁文書の一部を削除していたことが新たに判明した。
現在問題化している文書書き換えとはまったく別の時期だが、情報公開請求に対し、都合の悪い情報を隠そうとしたとみられ、公文書管理に関する意識の低さが改めて鮮明になった。
「決裁文書をいじるのは、簡単にできることではない。これ以外はないと信じたい」。新たな公文書の削除が明らかになった3月13日、財務省幹部はこう話した。
2015年に財務省理財局が作成したメモで、学園に国有地を貸し出す際の年間賃貸料について近畿財務局と相談した結果が記されていた。しかし2015年6月頃、学園側から情報開示請求を受け、このメモ1枚を抜いて開示したという。
同省幹部は「賃料について本省と相談していることを学園側に知られたくなかったのではないか。取り扱いに安易な考えがあった可能性がある」と話した。
2017年2~4月の書き換えとは別の削除が判明したことについて、同省幹部は「森友学園に関連してこういうことがあったのは認めざるを得ない」と述べた。
一方、同省がこれまで、大阪地検特捜部に対し、書き換え後の文書を提出していたことが、関係者への取材でわかった。特捜部はこれとは別に、捜査の過程で書き換え前の文書の存在も把握し、同省側に説明を求めていたという。
関係者によると、同省や近畿財務局は特捜部の求めに応じて関連資料を任意提出。その中には決裁文書も含まれていたが、同省が国会に提出したものと同様に「特殊性」などの文言が削られていたという。
同省側は文書以外にパソコン内のデータも提出しており、特捜部はデータを分析するなどして、書き換え前の文書も入手したとみられる。書き換え前の文書は、書き換え疑惑が発覚した後、検察当局から同省に提供された。
書き換えの指示は、同省理財局から近畿財務局にメールや口頭で出されていたという。書き換えは公用文書等毀棄罪や虚偽公文書作成罪などに問われる可能性があり、特捜部は書き換えの経緯についても調べている。
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