一審に続き、二審でも市と県の法的責任を認める結果となった。津波で多くの犠牲が出た宮城県石巻市の大川小学校の裁判で、控訴審判決が言い渡された。
あの悲劇は天災なのか、それとも人災だったのか。地震発生後、児童や教職員は校庭に集まったものの、大津波警報のアナウンスが流れるなか約50分間どこへ避難するか判断がつかない状態だったという。ようやく移動を開始したのは、津波が学校に到達するわずか1分前。84人が犠牲となった出来事は「大川小の悲劇」と呼ばれ、巨大な津波の跡を色濃く残す校舎には7年以上経った今も追悼に来る人が途切れる日はない。
一審では、地震後に津波を予見できたとして遺族側の主張が認められ、石巻市と宮城県に14億円余りの損害賠償の支払いを命じる判決が出た。しかし、石巻市と宮城県は津波を予見できなかったとして控訴。遺族側も控訴し、仙台高裁で行われた控訴審では、一審で責任が問われなかった地震発生前の学校側の津波への備えなどが争点となっていた。
一審に続いて石巻市と宮城県に賠償を命じる判決。高裁は、石巻市側に危機管理マニュアルを大川小の実情に応じて改訂する義務を怠ったなどと事前防災の不備を指摘した。
原告団長・今野浩行さん:「校長先生、教頭先生、教務主任、あと石巻市教育委員会の責任も認められた。この組織的過失を認めたということは、非常に今後の防災に対して大きい意味を持つことだと思います」
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