安倍晋三首相は5月9日午前、東京の迎賓館で中国の李克強首相、韓国の文在寅大統領と会談した。朝鮮半島の「完全な非核化」に向けて連携することを確認。日中韓の経済協力を進める考えでも一致した。
首脳らは、会談後、共同記者発表に臨んだ。安倍首相は「北朝鮮の諸問題に関する国連安全保障理事会決議を完全に履行する。これは3カ国の共通の立場だ」と述べ、北朝鮮が非核化の実現に向け具体的な行動を取るよう制裁決議の履行を続けることで一致したと明らかにした。また、拉致問題の早期解決に向け、両国に協力を求め、「理解を得られた」と述べた。会談冒頭では、南北首脳が署名した「板門店宣言」について「完全な非核化が盛り込まれたことを評価する」と語った。 李首相は記者発表で「朝鮮半島の非核化と対話の軌道に戻ることを歓迎する。政治的な半島問題の解決のため中国は一貫して建設的な役割を果たしていきたい」と述べた。 文大統領は「朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和主義、南北関係の改善が、北東アジアの平和と安定に重要との認識で一致した」と語った。 経済分野でも意見を交わし、日中韓自由貿易協定(FTA)の締結に向けて協議を加速することで一致。日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)を含めた計16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉の進展を目指すことを確認した。東アジアでインフラ協力を進めるため日中韓協議を検討することでも一致。今年2月の平昌(ピョンチャン)冬季五輪を皮切りに、2020年の東京、22年冬季の北京と五輪・パラリンピックが続くことから、スポーツや青少年の交流を拡充することでも合意した。 日中首脳会談では、防衛当局が偶発的な衝突を防ぐための「海空連絡メカニズム」の運用開始について合意する。
https://mainichi.jp/articles/20180509/k00/00e/010/279000c