都心から電車で40分ほどの千葉市稲毛区。駅前は、5月13日夜に騒然とした雰囲気に包まれた。
規制線の奥、救急隊員らが出入りするのは2階の飲食店。午後7時すぎ、「包丁を持った男が暴れている。けが人がいる」という通報があった。家族連れの4人が襲われ、6歳の女の子が死亡した。
逮捕されたのは小田求容疑者(46)。3年前まで市議会議員をしていた。襲われたのは男の妹とその家族だった。13日は2階にある飲食店に一緒に来ていた。しかし、突然怒り出し、4人を切りつけたという。
小田容疑者らは個室にいた。小田容疑者と妹の夫が並び、長女と妹が向かい合う形で座ったという。妹は赤ちゃんを抱いていた。すると、小田容疑者はかばんから包丁を取り出したというのだ。まずは、妹の夫の太ももや上半身を刺し、次に妹の長女の背中。さらに妹の上半身を複数回、刺したという。
夫婦は重傷とみられ、長女は死亡が確認された。長女の刺し傷は肺に達していたという。
市議まで務めた男が、なぜ。
小田容疑者は、事件現場から歩いて10分ほどの住宅街に数年前まで生活していた。近所の人によると、あいさつの際なども印象がよく、人当たりはよかったという。しかし、2期目を勤めた後は選挙に出ていなかった。ちなみに、市議になる前はオペラ歌手でCDも出していた。13日は親族で46歳の誕生日を祝っていたという。
小田容疑者は包丁をあらかじめ、かばんに入れていたとされる。警察の調べに対してはしゃべってはいるものの、まともにやり取りができない状況で「弁護士が来るまで話さない」としているという。警察は、動機や計画性などについて経緯を詳しく調べている。