◆厚生労働省が今回の「働き方改革」の目的に、「生産性の向上」、というのを挙げています。もちろんそれ以外にもたくさんの目的があるのですが◆この「生産性の向上」というのが問題にされるとき、たいていの場合は「日本人労働者の仕事の効率の悪さ」というところへ議論が行きがちなんですけれど。ちょっとそれは本質からずれてるんですよね◆どちらかというと「日本の会社組織の生産性の低さ」と「日本には生産性の高い産業・企業が少ない」ことが問題だと思うんです◆実際日本より生産性の高い国の労働者が全て何か日本人よりシャカシャカと効率的な動きをしているのか、そんなわけないやろ、と◆むしろ日本の会社の物事の進め方が問題◆欧米の企業が個人単位で仕事を考えるのに対して、日本は「部」「課」というものを置いて基本的に「課」単位で物事を進めるんですよね◆「この課の仕事はこれ」という風に明確だけれども「個人」がそこで「何をするか」「どこまでするか」は、明確ではない◆基本的に「課」の仕事を「課員」全員で進める。という形で行くわけです◆すると「調整」とか「会議」とかが必要になってくるんですよね◆これをほっといて、「長時間労働是正だ」「早く帰れ」といっても、むしろ生産性は落ちていくんですよね。会議や調整の時間は相変わらずで、実際のお金に結びつく動きに費やす時間は削られるわけですから◆ここのところが改善できるのならば「自由な働き方」というのをひょっとしたら実現できるかもしれませんけど◆アメリカのエグゼンプト制度というのも仕事を個人単位で考えているからそういう風になったんですよね◆それをアメリカではこうだから、と日本に導入しても当然うまくいかないわけです◆組織体制とかそのままにして「高プロ」なんていわれても結局残業代を払わずに済ますためのものとして利用されるだけなんですよね◆「日本の労働者の生産性は低い」という言葉も、ブラック企業の社長に「働き方がなってないんだ!」「もっと効率を考えて動け!」とか、ワタミみたいなやつに利用されるだけなんですよ◆