『婦人画報』1942年(昭和17年)の1月号に最初に発表され、
その年の6月、「女性」という単行本に収められています。
戸田という作家に、匿名で応援の手紙を出して、最終的に会いに行くという話で、
友人の菊子へ宛てた「主人公の私」の手紙という形をとっています。
主人公の女性が、手紙の中で小説家に呼びかける時の言葉「貴下」。
これは「あなた」にあたる、二人称の代名詞で、同等、または目下の相手に対する敬称。
男性が多く手紙などで用いる言葉ですね。
こんな言葉を使ってしまうあたり、この主人公の女性の性質、性格がわかろうというものです。
太宰自身、こういう手紙をしょっちゅう、もらっていたんじゃないでしょうか。
ユーモアの中に、シニカルな皮肉も込めている作品で、大の太宰ファンを自認する、漫才師の又吉直樹さんも 強く推薦している小説です。
朗読 太宰治 恥 ラジオドラマ