宇宙暦795年/帝国暦486年9月16日の終わりごろ、第4次ティアマト会戦は終了していたが、
帝国軍総司令官のミュッケンベルガー元帥はまだ休息を取っていなかった。彼は会戦中は中央及び右翼艦隊の
コントロールに腐心して、ここ数日休まず指揮を取っていたが、事後処理を決めないまま休む訳にいけなかった。
今回の会戦ではわが帝国軍の優勢勝ちと言えるが、それは孺子(ラインハルト)の艦隊の働きがあっての事だと、
客観的事実として認めないわけに行けなかった。今回は孺子を勲功第一として、上級大将への昇進もやむなしと結論付けた。
元帥に昇るにはもう一階級昇進しなければならないが、そうさせないために次回は絶対に勝たせないと決意した。
そんな所でフレーゲル男爵が現れた。彼は開口一番「あの孺子は生きている」と言い、ミュッケンベルガー元帥を難詰した。
本来上官に対してこの様な無礼な口をきくのは許されるはずはないが、門閥貴族である彼には理解できない事の様だった。
ミュッケンベルガー元帥は言った。「会戦が終わった後に、グリューネワルト伯爵夫人の弟が不慮の死を遂げたのであれば、
皇帝陛下も異とされるであろう、真相の究明の下命あれば臣下としてそれに従わざろう得ないが、よろしいか」
フレーゲル男爵は返答できなかった。ミュッケンベルガー元帥はさらに言った。「今回は自重する事だ男爵。私は疲れている、下がれ!」フレーゲルは上官に対して敬礼もせずに、その場を立ち去るのであった。
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