Youtubeからの転載です(
https://www.youtube.com/watch?v=tW60q0rKNtA)。
1789年に始まるフランス革命では、キリスト教教会は反動勢力とされ、暴徒化した民衆が教会に乱入して破壊行為を行うことが常態化しました。その際、教会に設置されていたパイプオルガンも多数が破壊された結果、フランスにおけるオルガン音楽は19世紀中盤まで空白期間が続きました。
しかし、フランスに革新的なオルガン製作者アリスティド・カヴァイエ=コル(1811 - 1899)が登場し、彼が新しい機構を導入したパイプオルガンを次々に製作したことで、状況が一変します。これらはオーケストラの合奏に近い交響的な響きを作ることができ、このような最新鋭のオルガンに触れた当時の才能ある作曲家は、創作上のインスピレーションを多く得ることとなりました。
その流れの先陣を切ったのが、セザール・フランクです。1858年、彼はカヴァイエ=コルが製作した最新鋭のオルガンが設置されたばかりのサント・クロチルド大聖堂のオルガン奏者に就任します。フランクはこのオルガンの響きに完全に魅了され、オルガン音楽の創作意欲を膨らませていきました。そして1860~62年の間に、以下の6作品が作曲されます。
幻想曲 ハ長調 作品16
交響的大曲 嬰ヘ長調 作品17
前奏曲、フーガと変奏曲 ロ短調 作品18
パストラール ホ長調 作品19
祈り 嬰ハ短調 作品20
フィナーレ 変ロ長調 作品21
これらはひとまとめにして「大オルガンのための6作品」と名付けられ、1862年に出版されました。この作品群はフランクが真の才能を発揮した最初の作品であり、フランス音楽界に交響的なパイプオルガン作品の可能性を知らしめた画期的な作品となりました。その後、19世紀後半のフランスではロマン派の影響を受けたオルガン音楽が多数登場します。
ジャンヌ・ドゥメッシュー(オルガン)