宇宙暦796年3月初旬、アスターテで大敗北を帰した同盟軍は、ヤン第2艦隊司令官代理の指揮で首都星ハイネセンに帰着する。
動員した400万余人の内150万人以上を失う敗北であった。
ハイネセン帰着の二日後に統合作戦本部内の大フロアにおいて、アスターテ会戦戦没者慰霊祭が取り行われた。
この慰霊祭の実質的な主役は、戦没者の家族や親類では無く、同盟政府の若きホープのヨブ・トリューニヒト国防委員長であった。
トリューニヒトはその巧みな弁舌によって、帝国との戦争を正義として、戦争による戦死を「崇高な死」として参列者たちを煽った。
その時最前列にいたヤン・ウェンリー准将は、このトリューニヒトの扇動演説に嫌気をさし、
参列者達がボルテージを上げ、立ちあがって称賛の声を挙げる中、一人黙然と座っていた。
演説が白熱化する中、一人の若き女性がトリューニヒトの前に現れた。この女性は婚約者で
第6艦隊幕僚の「ジャン・ロベール・ラップ」を戦死で失った「ジェシカ・エドワーズ」であった。
彼女はトリューニヒトに対して「あなたはいま、どこにいます?」と問いかけるのであった。
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