宇宙暦796年3月、統合作戦本部内の大フロアにおいて、アスターテ会戦戦没者慰霊祭が取り行われた。
この日のトリューニヒト国防委員長の演説は最高潮に達して、「同盟万歳! 共和国万歳! 帝国を倒せ!」と
慰霊祭に集まった6万人の遺族たちは立ちがって合唱するに至る。
しかし、ヤン・ウェンリーはこれに同調せず、一人黙然と座っていた。これを自身への反抗とみなしたトリューニヒトは、
彼の考えを「修正」するため制裁を加えることを、暗に決断していた。
この後、これにも増した事態が発生した。くすんだ金髪の女性が、喪服に身を包み、トリューニヒトがいる壇上の下に一人立っていた。
参列者の目線がこの女性に集まる。ヤンもトリューニヒトの顔を見るより「まし」と思いその女性の方を見た。
ヤンは驚き、そして心配した。そこにいたのは、士官学校以来からの友人であるジェシカだったからである。
「あなたはいま、どこにいます?」とトリューニヒトに対して糾弾を始めるのであった。
ジェシカは言った「私はジェシカ・エドワーズと申します。アスターテ会戦で戦死た第六艦隊幕僚の
ジャン・ロベールラップの婚約者です。いいえ、婚約者でした。」
これに対して雄弁なはずのトリューニヒトが言うべき言葉を探して彷徨っていた。
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