Youtubeからの転載です(
https://www.youtube.com/watch?v=_SMHuN_99LU)。
1887年はモーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」初演から100周年にあたり、この年にチャイコフスキーは記念作品として、モーツァルトのピアノ曲から4曲を選んで管弦楽版に編曲し、「モーツァルティアーナ」作品61と名付けました。彼自身はこの作品を自作の組曲とはみなさなかったため、特に番号はつけませんでしたが、曲の構成は彼がそれまでに作曲した3つの管弦楽組曲に準じていたため、現在ではチャイコフスキーの組曲「第4番」として認知されています。
このうち、第3曲は「アヴェ・ヴェルム・コルプス」K.618の編曲版ですが、事情は少々込み入っています。モーツァルトの原曲は混成四部合唱でピアノ曲ではありませんが、フランツ・リストはこれをピアノ独奏用に編曲した上、グレゴリオ・アレグリが作曲した「ミゼレーレ」を組み合わせてピアノ曲「システィナ礼拝堂にて」S.461(
sm35030188)とします。チャイコフスキーはこのピアノ曲からモーツァルトの楽曲部分を抜き出して管弦楽用に編曲し、「祈り」と命名しました。
このようにリストの編曲版を介して作成されたことから、「祈り」はモーツァルトの原曲とは異なる響きになっており、一部では「原曲と比べて華美に過ぎる」といった批判も聞かれます。
ネーメ・ヤルヴィ指揮
デトロイト交響楽団