シェフが漫画・アニメ・映画に出てくる料理やスイーツを再現する「ベルコルノの漫画飯」。
【漫画飯】リスト:https://www.nicovideo.jp/my/mylist/#/66008633今回は、「ジョジョの奇妙な冒険」第4部(ダイヤモンドは砕けない)に出てくる、杜王町「トラサルディー」のシェフ・トニオさんの「娼婦風スパゲティー」。
原作では億泰が食して虫歯が治るわけですが、さすがにそこまでは再現できません。
娼婦風スパゲティーは、イタリア名を「スパゲッティ・アッラ・プッタネスカ (Spaghetti alla Puttanesca) 」といいます。原作に「あまりにも忙しい娼婦がてきとーに作ったら、うまかったというのがこの名の起源(らしい)」とあるように、元々は娼館(いわゆる風俗店)のまかない料理だったと言われています。オリーブ、アンチョビ、ケッパーという、保存性が高くて南イタリアではどこの家にもある食材を使って短時間で作れることから、パスタ料理において「定番」といえる地位を獲得しました。
イタリア料理の教科書には必ず載っているスタンダードなパスタ料理です。
今回の再現にあたって、トニオさんの出身地であるナポリ、南イタリアの食材を揃えることを意識しました。「イタリア料理は地方料理の集合体」と言われるとおり、ある料理を作る時は、土地の食材を使うことに非常に重きを置いているからです。
今回、スパゲティーの麺の量は80gで作りました。通常の1人前より少し少なめです。理由は2つあり、ひとつは盛り付ける予定の「トニオさんのパスタ皿」のサイズとの見た目のバランス。もうひとつは、これが前菜、メイン(肉)の間に出てくるコースの中の一品であるということです。もし、パスタだけで一人前の食事としたい場合は、100~150gのぐらいの間でお好みの量で作ってください。また、トマトの皮もむかずに使っていますが、皮が苦手という人は、湯むきするか、トマトをカットするときに1/8など小さくカットすることで食べやすくなると思います。
ちなみに原作では「にんにくを使ったパスタにはチーズをかけないが、このパスタは例外でかけて食べる」とありますが、近年ではこの定義は随分緩くなったように感じます。一昔前は「魚介を使った料理にチーズはかけない」というのもありましたが、最近は普通にかけるシェフも増えてます。料理や人の嗜好は、時代に合わせて変わっていくものということです。