トールがともえの家に来てから3ヶ月が過ぎた。
イエイヌ、アムトラ、ゴマちゃんとも仲良くなって、今日は遊園地でピクニック。
トール手作りのお弁当で、みんなでワイワイ楽しい時間を過ごしている。
(この素敵な時間が続きますように……)
トールは心の底から思った。
その時、突然、空が真っ黒になって一匹のドラゴンが上空に現れた。
「トール、帰るぞ。お前はこの世界に干渉してはならない」
ドラゴンはトールに向かって言った。
「お父様。私は帰りたくありません。この世界で過ごしたいんです」
トールは叫んだ。
「あの……」
傍で見ていたともえが口を開いた瞬間、ドラゴンがともえに向って炎を吹いた。
「あちっ!」
炎はともえの頬をかすめ、トール手作りのお弁当を燃やした。
ともえの怒りは頂点に達して、ドラゴンに向かって叫んだ。
「あんたさぁ、親だったら娘の話を聞いてあげなさいよ」
「何だと? ヒトよ。お前は殺されたいのか?」
ドラゴンはともえを睨みつけた。
「お父様、もうやめて! 私が帰るから……」
トールはドラゴンに向かって歩き出した。
「トールは引っ込んでて。これは私とこいつの問題だから」
ともえはトールを振り払ってドラゴンの前に出た。
「私は両親の記憶が無いけど……、もしあんたみたいなのが親だったとしても……」
ともえの目から涙がこぼれ落ちた。
「……絶対、愛してると思う! 親子ってそうゆうもんでしょ!」
目に涙を浮かべながら、ドラゴンに訴えるともえ。
「……」
ドラゴンは暫く沈黙をした後、静かに口を開いた。
「トール、いい友達を持ったな」
そう言って、ドラゴンは空の彼方へ飛んで言った。
「ふぅ! 死ぬかと思った」
ともえはヘタヘタとその場に座り込んだ。
「やっぱり私のご主人様は、ともえさんです!」
トールは泣きながらともえに抱き付いた。
「何言ってるの? ともえちゃんは私のご主人様よ!」
イエイヌが二人を引き離そうとする。
まだまだ三角関係は続きそうである……。
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