音響機器を運搬する箱に隠れるという、映画さながらの方法で、海外に逃亡したとされるカルロス・ゴーン被告(65)。
大きな黒い長方形のケースで、角には金具もついていて、頑丈そうな印象を受ける。
また、この箱には白い粉のようなものがついているが、これは、トルコ当局の捜査で、指紋を採取する際についたものだという。
そのゴーン被告が、出国の2日前、行きつけの焼き鳥店を訪れていたことがわかった。
カルロス・ゴーン被告が、前代未聞の国外逃亡を図る2日前の2019年12月27日。
ゴーン被告が訪れたのは、東京・港区にある大衆的な焼き鳥専門店「串若」だった。
以前からの行きつけで、12月6日にも訪れたというこの店に、秘書が予約を入れ、現れたという。
焼き鳥や好物の和風サラダなど、総額6,000円分の料理を注文した。
このわずか2日後の国外逃亡。
そのくわしい足取りが、徐々に明らかになってきた。
12月29日、都内の制限住居を出たゴーン被告は、協力者と落ち合い、JR品川駅から新幹線で新大阪駅に移動。
さらに、新大阪駅からは、タクシーで関西空港近くのホテルに立ち寄り、深夜になってプライベートジェットに搭乗し、出国したとみられることがわかった。
プライベートジェットといっても、通常は、保安検査を通って出国審査の手続きが行われる。
しかし、音響機器を運搬する際に使う大型のケース。
ゴーン被告は、この箱の中に身を隠したとみられている。
関西国際空港では、これらの箱がエックス線検査を受けていなかった。
かつて、プライベートジェットの発着に携わっていた関係者は、「基本ゆるゆるです。プライベートジェット機の場合は、お客さまが到着した段階で、荷物だけを預かって、その荷物を車に載っけて、直接飛行機のそばまで行くというやり方がありました」と話す。
国土交通省によると、プライベートジェットに出国時の荷物検査は義務付けられていないという。
こうした抜け穴を、ゴーン被告サイドは事前に把握していた可能性がある。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ゴーン被告の支援チームは20回以上も日本を訪問。
それらを通じて、関空のプライベートジェット施設は、エックス線検査機が大きな荷物に対応していないことを発見していたという。
8日、現地で記者会見を行うと伝えられているゴーン被告。
本人の口からいったい何が語られるのか。