軍手を拾ったしんちゃんしんちゃんが、歌を歌いながら歩いています。
”お芋はお芋のままで~”黒いサングラスを、目ではなく、あごの辺りにかけています。
あまりに不自然なかけかたなので、当然のごとく、サングラスは落ちました。
かなりの衝撃があったらしく、右の柄が取れてしまいました。
「あ~あ」と残念がるしんちゃんですが、両手分の軍手が落ちていることに気付きます。
それをしんちゃんは拾い、「まだ使えそう」と思いながら、両手の軍手をピタッと合わせました。
すると、ピカッという音と共に、何かが現れました。
軍手の妖精が現れた男と女の人間のようですが、背中に羽があって、空中に浮いています。
「助けてくれてありがとう私たちは、軍手界を守る軍手の妖精、『さくらと一郎』です」しんちゃんは思わず、新宿歌舞伎町によくいそうな2人だなと思いました。
彼らの説明によると、ゴム手袋の『ジュンとネネ』と戦っていて、魔術によって軍手にされてしまったのです。
2人は常にくっついていないと動けず、しんちゃんがくっつけてくれたお陰で助かったそうなのです。
しんちゃんは、人間の知らないところで、いろんな戦いがあるんだなあと思いました。
お礼にもらったモノは助けてくれたお礼だと言って、”チチンプイプイチンチクリーン”と呪文を唱えると、しんちゃんの手には、滑り止めつきの軍手があらわれました。
「もし何か、壊れているモノがあればその軍手で触っただけでもとどおりになる、名付けて、『ひとりでなおっ太くん』です」それでは試しにと、さっき壊れたサングラスを持つと、”ビパッ”という音とともに、本当にひとりでなおってしまいました。
ただし、妖精の説明によれば、そのパワーは5回で終了します。
今、1回使ったので、あと4回。
しかも、消費期限は30分だとか。
「えーーー!?」と驚くしんちゃん。
あと4回、しかも30分以内と言われ、はずれたシリマルダシのシリと、破れた田中麗奈のポスターと、アクション仮面フィギュアの足と、サンタ―ハード2号のつばさを直すため、急いで家に帰ります。
パワー1回目は走っていたしんちゃんは、曲がり角でマサオくんとぶつかりました。
”ビパッ”という音がしましたが、何か直してしまったのか?実はマサオくんは、ズボンのおしりが破れたので、急いで家に帰るところでした。
しかし、マサオくんがおしりを見ると、いつの間にか直っていました。
事情を知らないマサオくんは不思議に思っていますが、1回分を使ってしまい、残念に思うしんちゃん。
シリマルダシのシリはあきらめました。
パワー2回目は今度は曲がり角に注意して走っていると、後から……