Youtubeからの転載です(
https://www.youtube.com/watch?v=Yqb1nzB2yC4)。
1799年、ベートーヴェンは「悲愴」ソナタに続いてピアノソナタ第9番 ホ長調 作品14-1を作曲し、ヨゼフィーネ・フォン・ブラウン男爵夫人へ献呈しました。この作品は「悲愴」とは打って変わって簡素な様式で演奏難度も比較的低く、献呈された男爵夫人のようなアマチュア演奏家が家庭で演奏することを想定して作曲されたとみられています。
1802年、ベートーヴェンはこのピアノソナタを弦楽四重奏曲として編曲します。編曲にあたっては、原曲の調性がホ長調だったのに対し、ヘ長調に移調されており、これは当時のピアノソナタにおいてホ長調が一般的でなかった(調号が4つ以上ある調性は楽器の調律に手間がかかる)ためとされています。
この編曲版は原曲と同様、ブラウン男爵夫人に献呈されました。後にベートーヴェンは手紙の中で「是非ともという求めに応じて、1曲だけ自作のピアノソナタを弦楽四重奏曲に編曲した」と述べており、献呈されたブラウン男爵夫人から強く編曲を要望されたのかもしれません。