某日深夜、社長から電話があった。かのせなさんが所属するアイドルプロダクションの社長であり、我がラボに対紳士システムを持ち込んだ張本人でもある。
先日までの研究により件のセキュリティは無効化。(参照・
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まだまだ解析時間等、改良の余地はあるものの、とりあえずの目的は達せられたと言えよう。
社長の要件もやはりシステムに関することだった。まずは我々の成果に惜しみない賛辞を、次にこのデータのお陰で更なる改良、改善点が見つかったことを。
お返しにと今回の収録での出来事、しり込みする私を叱咤したかのせなさんのことを伝えた。
本当に強い子だと。とても真っ直ぐないい子だと。
お互い和やかに語りつつも、言葉の端々に強い決意と不屈の闘志が見え隠れしていた。
うむ、やはりそちらとの関係はこうでなくてはいけない。
ところで、と社長が矛先を変える。
「資料に背景スクリーンの映像が無かったのだが、こちらも渡してもらえないかね」
もっともな意見である。解析、突破されたのなら資料は一つでも多い方がいいだろう。
しかし、今回未提出のスクリーン版は参考にはなり得ない。
ネタばれすると、あれは動きだけトレースしたでっちあげ。顔は本物だが、首から下は過去検証から再現したニセモノなのだ。名付けて『レプリカのせなさん』といったところか。
ニセ解析を流した理由は言うまでもない。四方にスクリーンを設置、精神的動揺を誘うことで新兵器「催淫ライト」の効果をより高めるのが目的である。
結果はご覧の通り。システム解析途中でも彼女の行動に不具合が生じていたのが分かるだろう。
「資料にならないのは理解した。それはそれとしてスクリーン版は見たい」
「ニセモノですよ?」
「検証データから再現したなら限りなく本物に近いレプリカじゃないか。見たい」
なるほどそういう考えもあるか。
資料性皆無と引っ込めていたが、これは社長のみならず皆にも開放すべき案件かもしれない。
というわけでこっそりスクリーン版を放流する。
あくまでこっそりなので、
本動画はタグ付け厳禁とする。
かのせなさんにもバレないように注意してもらいたい。