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sm37058347 mylist/68640421 次
sm37091758隣国ヴェルダンが同盟を破りユングヴィに侵攻した。その知らせは物理的な衝撃を持って琴葉姉妹を襲った。夜明けの薄暗い闇の中で眠っていた二人を必死の形相をしたオイフェがたたき起こしたのだ。「ユングヴィはすでに落ちました。次にヴェルダンが狙うのはここシアルフィです」主力部隊がイザークへ遠征に行っているグランベルの公国はどこも守りが手薄でシアルフィも例外ではない。大群に攻め込まれたら城の防衛もままならないという。「最小限の守りだけを残し打って出るしかありません。電撃戦で敵将の首級を上げるんです。ぼくはシグルド様にお会いしてきます」
お二人は客分です、避難の準備だけはしておいてください。そう言うとオイフェは慌ただしく去っていった。「どう思う葵?」「隣国が攻めてきたんだよね。私の勘だと――」「物語が動き出した。そうやろ?」「うん。何かが大きく動き出そうとしてる、そんな予感がするんだ」窓から見える丘陵の向こうからは黒い煙が上がっている。村が襲われているのだろう。「うちの直感も告げてるで。元の世界に戻るにはシグルドに付いていけとな。でも同じようにつらい戦いになるってこともわかるんや。なあ葵、うちは葵を危険な目に合わせたくない。でも一緒に家へ帰りたい。どうしたらええと思う?」茜が目を伏せる。その力なく下がった手を葵は掴んだ。「決まってるでしょ。お姉ちゃんが私を守る、私がお姉ちゃんを守る。二人ならどんなところへだって行けるよ」
――そうでしょ?
その力強い瞳を見て、愚問やったな、と茜は思った。
「よっしゃ、いっちょシグルドを助けてついでに世界も救ったるか。うちらの力をこのユグドラル大陸にも轟かせてやるで!」
という展開はたぶんなかったので忘れてください。
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