08月04日 09時53分
病気やけがなどで黒目と白目の境目にダメージを受け、著しい視力障害が起きた患者に対し、本人から採取した組織を培養して移植することで視力を回復させる全国初の技術を愛知県蒲郡市の企業が開発しました。
蒲郡市にある再生医療を手がける企業「ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング」は、市内の眼科医療機器メーカーの依頼を受けて16年前から技術開発を進めてきました。
対象となるのは、病気やけがで目の組織の一番外側にある部分がダメージを受け、黒目と白目の境目にある「幹細胞」という、細胞を作り出す元となる組織が作れなくなった患者の一部です。
ダメージを受けた方とは反対側の目から健全な組織を取り出して培養し、直径18ミリ、厚さ0.02ミリ程度のシート状にしたうえで、ダメージを受けた部分に移植したところ、症状によっては、2か月から3か月ほどで視力の回復がみられたということです。
患者は全国に数百人程度いるとみられますが、これまでは有効な治療法がありませんでした。
患者自身の細胞を使うため、拒絶反応も抑えられるということで、開発責任者の小笠原隆広さんは、「いままで諦めていた患者にも新しい光が見えることになった。蒲郡から開発した技術を広く活用してほしい」と話しています。