現在、BSにて平成3年にNHK大河ドラマにて放送された『太平記』が再放送中という事で、丁度良い機会であるからその虚に吠えさせて頂く。
平成3年放送の大河ドラマ『太平記』は、古典『太平記』とは全くの別物であり、かの大河ドラマを以て『太平記』と認識せる現代人の多き事に強き遺憾の念を禁じ得ない。本来、『太平記』とは南朝側視点から描かれたものである。ところが、大河ドラマ『太平記』は足利尊氏視点から描いており、根本の本義が異質のものであり、かのドラマに『太平記』と銘打った事に悪意があった事は紛れも無き事である。足利尊氏視点から描くのでれば『梅松論』又は『足利尊氏』なるタイトルで良かったであろう。それを敢えて『太平記』と銘打った事に、裏で暗躍する工作員の意図を垣間見る事ができる。実は、大河ドラマ『太平記』の監修を担当したのが、大東亜戦争前夜の日本を震撼に陥れた、かの「スパイゾルゲ事件」首謀者・尾崎秀実の弟・尾崎秀樹であったのだ。ご存知の通り、朝日新聞記者であった尾崎秀実は、当時のソビエト連邦コミンテルン工作員として、近衛文麿に接近、そのブレーンとして近衛からの絶大なる信頼を得、近衛内閣に深く入り込み徹底した諜報活動を行った。日本が日支の泥沼戦闘へと引きずりこまれた挙句敗戦、占領という筋書へと導いた素地を作った者こそ、この尾崎秀実である。かくなる人物の弟が監修を手掛けた『太平記』の内容が如何なるものであるか、推して知るべし。果たして、従来の古典『太平記』は封じられ、後醍醐天皇の目指された『建武中興』の理念も歪曲、正成を単なる平和主義の河内の農夫然に位置付け、大衆に広く意識付けた。戦前から仕掛けられてきた情報戦は今も尚続いて仕掛けられ続けている。嘗て、この国にスパイなる工作員が存在し、その系譜は現代日本に今も蔓延り続けて、戦後日本を洗脳支配している事に国民は1日も早く気付かねばならない。
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神社本庁所属神主・楠公研究会代表理事・表千家茶道教授者・池坊教授・作家
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