日本最古・有馬温泉は火山が存在しない地域に於いて世界的にも唯一非常に珍しく、神代の昔からこんこんとお湯が湧き出で続けている。有馬を最初に発見したのは、大己貴命(おおなむちのみこと・大国主命)、少彦名命(すくなひこなのみこと)、熊野久須美命(くまのくすみのみこと)。大己貴命は、五行思想のもと、より豊かな国造り政策の一環として、全国各地の温泉探索に力を入れた。通常では受ける事のできぬ、大地の真髄のパワーをそのまま享受する事によって、天地人が強力に繋がって神々の更なる強力な御神威を人々へ施す事ができると考えたからだ。大己貴命が特に重要視したここ有馬では、鉄分や塩分を多く含む褐色の「金泉」、炭酸とラジウムが主成分の「銀泉」のニ泉を有している。金泉冷え症や関節痛、銀泉は炭酸ガスによる毛細血管の拡張で血流が増えるため高血圧症に効く。温泉の多くは山肌に染み込んだ雨水や雪が火山活動で熱せられ地表に湧き出たもので、有馬のように火山から離れれば通常は湧出温度は下がる。全国的に見ても多様で特異なフィリピン海プレートと陸側のプレートの狭間である和歌山沖の海底深くで、海プレートが陸プレートに沈み込む際、海水を一緒に巻き込んでいく。岩石の一部となり地下60キロメートルの地中まで沈み込むと、地球奥深くを形成するマントルによって100度近くまで熱せられ、約600万年前の長き年月をかけて、温泉となって地表に熱水が湧き出す。その場所が、太平洋プレートの断層上に位置するここ有馬である。
地下100キロメートル近くであればマグマを作り火山ができるが、有馬の場合は地下60キロメートルとそれより浅いため、マグマを作らず熱水のまま上昇している。神代より、日本人は断層であった地を聖域として祀ってきた。人智を遥かに超えた自然災害を前に為す術の無き憂き目を累代に亘り繰り返し目の当たりにしてきた日本人は、森羅万象に於いて、人智では遠く及ばぬ偉大なる力がこの国に存在している事を知る。
八百万神への祈りとは、地震大国ならではの先人の叡智の結晶なのである。
故に、レイラインが存在しているのも、断層やプレートと位置に沿って神域が鎮まっている事に起因する。
古代人は、科学技術等無くとも、超常的感覚に優れており、直感的霊感により断層をして「聖域」とみなしたのだ。時代が降り、かの豊臣秀吉も愛した有馬温泉。老齢になり授かった幼い嫡子・秀頼の将来を憂い不老長寿を願った秀吉は、地下深くから600万年かけて湧き出る有馬の湯が持つ神秘の力に、自らの願いを懸けたに違いない。入浴時に金泉で顔を洗うと、塩辛くほのかに鉄の香りがして、大地の力強さの神秘を強力に感じる事ができた。お誕生日を前に、天地人が繋がり神と通じる事のできる有馬の地にて、大いなる力を沢山頂き、名実共に、魂が蘇ることができた事はこの上無き幸せである。
神社本庁所属神主・楠公研究会代表理事・表千家茶道教授者・池坊教授・作家
楠公末裔の立場から先祖・楠木正成について著した拙著『建武中興と楠木正成の真実』はAmazonからもお求め頂けます→
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