俺には弟がいる。
これがちょっと変わり者で、変な事を言っては周りからけむたがられていた。
そんなこんなで、友達がいない弟はよく一人で人形を使って遊んでた。
当時はガンダムやドラゴンボールなどが流行っており、ガチャポンと呼ばれるもので手頃な人形が手に入っていたのだ。
心霊現象を再現し、弟の反応を見ようと家中に弟の人形をていねいに並べてニヤニヤしてたら、そんな日に限って父親が誰よりも先に帰ってきてぶん殴られたのもいい思い出だ。
ある日、内緒で人形にクギや絵の具で血を流してるように見えるように細工しようと、美少女人形を弟の人形箱からあさっていた所、変な人形を見つけた。
弟の趣味ではないだろうゴテゴテの日本人形が箱の脇の死角からこちらを見つめていた。
なかなかの大きさがあり、これはいいとその人形を引っ張り出し、さっそく作業に掛かる。
実は父親の所からくすねてきたクギはそこそこな大きさがあり、ガチャポン程度の大きさじゃ釣り合いが取れなかったのである。だがこのサイズの人形ならちょうどよく不気味に見えるだろう。
綿密な計画の元、人形に7本のクギを打つ。よりリアリティを出すため事前にクギを曲げておいたり、雨に晒して錆びさせておいたりと準備は万全だ。
美的センスの塊と自負してた俺はチャチなものでは納得がいかないのである。やるなら本格的に、だ。
だが問題が起きた……
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