昔、俺が体験した話。俺は出張で岐阜県に一ヶ月ほど滞在していた。岐阜市内より三重県のほうが近いような田舎。
まぁ田舎っていっても駅周辺はカラオケやキャバクラ等の娯楽施設があったし、退屈はしなかった。
仕事は出張だから残業も無く定時に帰れた。始めのうちは知り合いもいないから、まっすぐビジネスホテルに帰ってたんだけど、人恋しくて、あるバーに立ち寄った。
そのバーはマスターが一人で切り盛りしてて、カウンターが五席にテーブルが二席程の小さい店だった。マスターは坂口憲二を更に男臭くして、年を重ねたって風貌の人だった。
話も上手くて、知り合いもいない土地に来ていた俺はいつしか仕事帰り毎日寄るようになった。
一週間も連続で通うと常連のお客さんとも顔馴染みになり、くだらない話で盛り上がった。
特に仲良くなったのは『タカシさん』と呼ばれる四十歳前の方と、『サーちゃん』と呼ばれるアジアン美人の女の子だった。タカシさんとサーちゃんも仲が良かったので、マスターを交えた四人でいつも閉店まで盛り上がった。
そんなある日の事……
★文字起こし:
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