2020年ジャック・オ・蘭たんは新たなステージへの旅立った、活動拠点をYouTubeへと移行したのである。
彼にどういった心境の変化があったのだろか…それは我々リスナーではすべてを推し量ることはできない。
だが彼は決して間口を広げ大衆に迎合したわけではなかった。
5月に開演された
『ナポンヌのムスカリ』では初挑戦となるミュージカル、それも難易度の高いとされている歌劇の脚本・演出・楽曲の作詞を一手に請け負い、大成功を収めた。
さらにその高いクオリティにより観劇したリスナーから再演を望む声が続出、千秋楽から1週間後に蘭たん本人が主演を務め行われたアンコール公演も彼は大成功へと導いた。
そして2020年の彼を語るためには外せない特筆すべき2つのトピックスがある
『怪人化』と
『CM出演』である。
どちらも彼がリーダーを務めるおっさん集団「ナポリの男たち」での活動であり、2020年はグループにとっても飛躍の1年だったともいえる。
地上波のCMに出演後、怪人へと転生するという高熱に魘されときの夢と見紛うセンセーショナルな行動は、見る物を飽きさせない彼らなりのファイナルファンタジーなのかもしれない、知らんけど。
本作
『hacchi likes apples.』はナポリの仕掛人蘭たんがグループメンバーのhacchiと共に
「スキャット」という未開拓のジャンルに挑んだ意欲作である。
ジャズで用いられるアドリブでの歌唱法を指すスキャットに、実況界の金字塔と称されるhacchiを起用するその配役の妙は、正に蘭たん個人とグループの新しい可能性を示しているかようである。
hacchiの優しくどこか危うげな声を楽器のように巧みに使用したこの楽曲は、豪勇ひしめく2020年のナポリヒットソング第1位となった。
授賞式の帰り道、hacchiの足取りはスキャットのように弾んでいたという。
元動画→
https://youtu.be/WFJt-p5z2uY