──神様、どうか今日は味方して
バレンタインということで、昨年のEve×ロッテガーナチョコのコラボ作品を歌わせて頂きました!
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「もうすぐバレンタイン、か」
街の至る所に浮ついたピンクの文字が並んでいる。否応なしに意識させられる。
まぁ、僕には関係ないけど。
心は凪いで、吐いた息は白に染まる。
その時、ちょうど僕の横を同い年くらいのカップルが通り過ぎた。
仲良さげに手を繋ぎ、幸せそうな笑顔を振りまいている。
「あの娘は誰かにチョコを上げるのかな」
ふと思う。同じクラスの、学校でもトップクラスの美貌。その上、成績もトップ。
全てに置いて中の下以下の僕なんかが釣り合うわけが無い。
運命のイタズラか、つい先日の席替えで隣になっただけ。きっとあの娘にとっての僕は生徒A。
「ねぇ、消しゴムかしてー」
「つぎの授業、数学いやだよねー」
あの娘のことを思い返すと、たった数日隣の席に座っただけなのに他愛ない記憶が溢れんばかりに蘇る。
楽しそうな顔も、イタズラな笑みも。どれも愛しくて。
本当の恋がどんなのかも分からない。酸いも甘いも分からない僕だけど。
あの娘も誰かに同じ気持ちを抱いているのかな、とか思うだけで胸が張り裂けそうになる。
図々しいのはわかってる。だから僕は君を夢の中で想う──
もし、君に染まれれば。君色に染まることができれば。
君は僕を見てくれるのだろうか。
ずっと想っていれば。想い続けていれば。
君に届く日は来るのだろうか。
凪いだ僕の心に街と同じ桃色が差す。
「あっ、おーい!」
聞き慣れた。いま聞きたかった君の声。
嬉しさと緊張が混ざり、心拍数が異常なほどにあがる。
声のした方へ顔を向けると、そこには予想通り君がいた。
綺麗な瞳が僕を向き、僕の視線と混ざって、相まって。
気がついたら僕は駆け出していた。
高嶺の花だってことはわかってる。でも、もう「好き」が止まらない。
失敗?そうなればこの恋とはおさらばだ。
神様!どうか味方をしてください!
胸中でそう祈り、お願いをして、想いを口にする。
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歌詞から物語へ──
Original :Eve様
https://www.youtube.com/watch?v=dJf4wCdLU18Vo、MIX :ロロ-ろろ-(@burningroro)
https://twitter.com/burningroro?s=09