2021年3月17日 14時06分
ツキノワグマのメスの歯から繁殖状況を分析する研究を、全国で初めて、長野県の研究所が始めることがわかりました。研究所は、絶滅のおそれも指摘されるツキノワグマの生息数を把握し、保護管理につなげたいとしています。
ツキノワグマは、人を襲ったり農作物を食い荒らしたりすることなどから環境省によりますと、今年度は1月末までに全国でおよそ5800頭が駆除されたということです。
一方で正確な生息数はわかっておらず、国内では九州で絶滅するなどしていて、専門家は「無計画に駆除を続けると絶滅するおそれもある」と指摘しています。
こうした中、長野県環境保全研究所がツキノワグマの生息数の把握につなげようと、メスの歯から繁殖状況を分析する研究をことし7月から始めることがわかりました。
研究所によりますと、ツキノワグマの歯の断面には「年輪」があり、メスの場合、この歯の「年輪」の間隔が出産して子育てが終わるまでの間、栄養が十分にとれなくなるために狭くなるということです。
このため、メスの歯を詳しく調べれば、子どもを何回産み子育てに成功したかがわかるということです。
クマの研究者などでつくる「日本クマネットワーク」によりますと、このような研究を実施するのは全国で初めてだということです。
研究所の黒江美紗子研究員は「メスの歯を調べることで、その地域のクマが今後、増えやすいのか、減少傾向にあるのか予測できるようになると期待している。歯を分析して情報を最大限に引き出し、保護管理に有益な情報を得られるようにしていきたい」と話しています。