第1レースを勝利し、第2レースが始まる。
小倉レース場、晴れ。2600mの長距離レース。
マチカネフクキタルが「博打に博打を重ねるな」というトレーナーの指示で変更、グラスワンダーにとって初めてのレースとなった。
この震えは武者震いだろうか。
レース前、パドックで自チーム、そして相手チームを観察する。
今日の一番人気はライスシャワー。絶好調の仕上がりだ。
毛艶がよくキラキラしている。かわいい。
そして四番人気のマヤノトップガン。かわいい。
この2頭が今日のレースは先行し、引っ張っていくだろう。
自分は六番人気となっている。こんな状態でこれだけの評価をしてくれていることに、ありがたさと、少しの気後れを感じる。
不調だとしても、レースは、相手のウマ娘は待ってくれない。パフェでも食べたい。たんぽぽでもいい。
「大丈夫ですわ」
そんな不安を察してか、肩に手を置かれた。
この喋り方はスーパークリークさん……。
「相手のゴールドシップは絶好調の二番人気、同じタイプのウマ娘である、私ゴールドシップが抑えてみせますわ!」
ゴールドシップさんだったあああああああ!!!!????
「あらあらあら、昨日のお水が抜けてないのかしら、ゴールドシップさんが4人に見えますわ」
スーパークリークさんはスーパークリークさんで、良くない顔色をしている。
チーム屈指のステイヤーである二人が絶不調と判明し、開運グッズと化したマチカネフクキタルの方がマシだったのではと思いつつ、ゲートに向かった。
「しまった……!」
ゲートが開いたが、わずかに出遅れてしまった。
ウマ娘たちが次々と前に出ていく。
やはり先行はマヤノトップガン。スーパークリークもライスシャワーをマークし先行している。
最後方の位置となり、絶望のレース展開。ゴルシさんが二人に見える。
「そっちのグラスはたんぽぽでも食べてたのか?」
ゴールドシップが言う。
「今日は絶不調だからな、作戦を伝えた」
ゴールドシップが応えた。
レース終盤、ゴールドシップが外からスパートをかけていく。
「野郎、絶不調のハズだろ!?」
開けた道に、スーパークリークも追従する。
追わないと……!
その時ライスシャワーを見知ったプレッシャーが襲った。
「これはっ……沈んでいたハズじゃ……!?」
ラストスパートのゴールドシップ、スーパークリークの間を、驚異的な末脚で、最後方から栗毛の怪物が駆け抜けていく。
ウマ娘:
https://www.nicovideo.jp/series/210400※前作等はシリーズからご確認ください。