ゴールドシップと一緒に暮らすようになってもう3年になる。
あいつは出会った頃のまま、自由奔放で仲間思いで情に厚い。
それがなぜ俺なんかと一緒に暮らしているのか…。
事件は3年前に起きた…。そうあの宝塚記念だ。
ゴルシはゲートで大きく、それはそれは大きく出遅れた。
その責任の所在を巡って関係各所に迷惑がかかる前に
俺は学園を離れた。普段の問題行動はともかく
レースでの失態はトレーナーの責任だからだ。
そして学園を出た後、記憶を失い、目覚めたらここにいた。
「よおトレーナー 目覚めはバッチリだろ」あの笑顔がそこにいた。
『…なっ!?』と飛び起きるが大きくバランスを崩して倒れた。
「慌てなさんなって この大海原とゴルシ様はどこにも逃げねえからよ」
言われて見渡せば海海海…波の音と海鳥の鳴き声だけの世界。
「どーよ、このシルバーシップ号の乗り心地はぁ、最高だろう?
フタコブラクダの背中にも負けないバショウカジキみたいな船なんだぜ!」
ノーズハイハイに語るゴールドシップ。状況は全くの見込めないが…。
『ありがとなゴルシ』「褒めても船長は譲らねえぞ」
トレーナーの仕事を辞めるよりお前との別れが辛かった。
お前との別れよりお前の走りが見られなくなるのが辛かった。
だから…きっとお前は全部分かった上でこれなんだろうな。
『…まあいいか』結局今まで通りの2人3脚で…。
『ってゴルシ、他の船員とかはいないのか?』「船長と呼べ」『はい船長』
「もちろん二人きりだ 理由はわかるだろ…?」
ずいっと顔を近づけてきた船長から思わず顔をそむけてしまう。
『それって…もしかして…』「他にクルーがいたら分け前が減るだろ」分け前?
「この大ゴルシ洋の彼方にある黄金の島!そこに眠るお宝を全部マルっと
ゲットしてうわーお計画、略して黄金旅程だ!どうだコーフンしてきたか?
するだろー!うおー行くぜおタカラ 目指せ一攫億兆金!!」
…全部わかっててやってるんだろうな。こいつは。
「…そのお宝もってさ。一緒に謝りに行こうぜ、みんなごめん ってさ」
全部わかってるんだな…こいつは。
「いくぜトレーナー!この世の全てがそこにあーる!」『ヨーソロー』
俺たちの物語『黄金旅程』の門出は順風満帆だぜ!!!!!!
あれから3年 何の成果も得られませんでした…。