テイオーが脚を骨折して1週間、喧しいくらいの元気さが嘘のように
すっかりと落ち込んでしまっている。
チームのトレーニングにも顔を出さず、レースの話すら
口に出さなくなってしまった。
ケガはいつか治る。だが、折れてしまった心は決して自然には治らない。
このままではマズい。
そう思った俺は、気分転換にとテイオーを連れ出すことにした。
「エーッ!デートシテクレルノ!ヤッター!キョウハトコトンツキアッテモラウカラネ!」
元気を取り戻したように見えるが、これは違う。
ケガのことなんて気にしていないと言わんばかりに、
俺を心配させまいとしてくれているのだ。
俺は、トレーナー失格だ。
テイオーの望み通り、その日はひたすら遊んだ。
ゲーセンでぬいぐるみを取ったり、はちみつドリンクを飲んだり、
カラオケで全力で歌ったり、プリも撮った。
流石に疲れたのか、少し座りたいとテイオーが言うので、
ベンチで休むことにした。
無言の時間がただひたすらに長く感じる。
耐えきれなくなった俺は、感情のままに言葉を発した。
「テイオー、俺はいつだって傍にいるぞ。歩けないときは肩を貸す。
走れないときは、代わりに俺が走ってやる。
ケガはきっと治る。また走れるようになる。だから―」
テイオーが口を開く。
「トレーナーはいつだってボクを見てくれてる。そう言ってくれることも
知ってる。だから、ボクは今までも、これからも、ボクでいられる」
テイオーが立ち上がる。
「ボクが迷ったときは、トレーナーが手を引いて。
トレーナーが迷ったときは、ボクが手を引くから。
怖くて立ち止まったときは背中を押して、
勢いがつきすぎたときは、声をかけて教えてよ」
テイオーが、こちらへ振り返る。
「そうやって、一緒の歩幅で、並んで歩いていこう。
約束だよ、トレーナー」
テイオーと指切りをして、ゆっくり歩きながら帰ることにした。
周りから見れば、ひどく遅く見えるかもしれない。
それでも、並んで歩くこの速度が、
今の二人にとっての「最高速度」だ。
ちなみに私はゲッサンのアイルが大好きです
怪文書を考えるのは難しいですね
前作、前々作とたくさんのご好評をいただけて恐縮です
「ウマーマンシリーズはルール無用」らしいので、
みなさんもぜひ作ってみてください
お願いですから仲良く動画見てください