2021年6月4日 16時38分
江戸時代に伊能忠敬と測量隊が作った日本地図のうち、新たに見つかった「小図」と呼ばれる全体図の3枚そろった副本が公開されました。測量した地点を示す針の穴など、作られた当時の特徴がきれいに残されています。
この日本地図は、北九州市にある「ゼンリンミュージアム」に寄贈されたもので、3枚の紙に北海道と東日本、西日本の地図が描かれています。
日本地図学会が調査をした結果、伊能忠敬と測量隊が作った日本地図のうち、43万2000分の1の縮尺で全体を3枚に収めた「小図」の副本と判断され、4日初めて報道公開されました。
幕府に提出した小図の正本は焼失し、3枚そろった副本としては、重要文化財に指定されている東京国立博物館の所蔵資料に次いで2例目となります。
公開された副本には、道や海岸線に測量をした地点を示す針の穴が連続して空いているほか、測量隊が地図を作る際に用いた城や宿場などを示す「記号印」や余白の説明書きなど、作られた当時の特徴がきれいに残されています。
原本は劣化を防ぐために一般公開の予定はなく、精巧なレプリカが5日から8月29日までゼンリンミュージアムで展示されます。
佐藤渉館長は「見つかった地図は保存状態がよく、手書きの文字や鮮やかな色彩がきれいに残っています。高精細のレプリカからそのすばらしさを感じていただければ」と話しています。