MADと呼ぶにふさわしいものは初投稿です
最推しはエアシャカールだ、そこは変わらん。
あと、音量注意ね。
先のトレーニング休みの日、街中をぶらついていると、
いつもとは雰囲気の違うトレーナーを見かけた。
気になってあとをつけ、数時間後。
たどり着いた場所は、片田舎にひっそりと佇む墓地だった。
十二、三はある墓石のひとつに、トレーナーは手入れをしていた。
過去に思いを馳せるように、ゆっくりと時間をかけて。
手入れが終わり、トレーナーは墓前に座り、何か話し始めた。
気付かれないように近づくと、普段より優しい声が、
言葉を紡いでいた。
トレセン学園のトレーナーになったこと、
そこで担当ウマ娘を見つけたこと。
その娘(コ)が最高にカッコいいこと、
そして、一番大切な人であること。
その言葉に気を取られ、トレーナーが話を終えたことも、
こちらの姿を見つけたことも、気付かなかった。
トレーナーの姿が近づくにつれ、思考回路が動いていく。
今日はトレーナーの親族の命日らしいということ。
それを知らせなかった、あるいは知らせたくなかったということ。
仮に後者であるなら、あまりにもダサいことをしでかしたこと。
だがここで背を向け走り去るのは、もっともっとダサいということ。
めぐる思考と沸き立つ焦りで動かない体を。
トレーナーは、ゆっくりと抱きしめた。
存在を確かめるように優しく、
そして、離れないように力強く。
状況を理解するにつれ、呆然は驚愕に、そして恥ずかしさに変わる。
そんなとき耳朶を打ったのは、トレーナーの言葉だった。
「ありがとう…君と出会えて、本当に良かった…」
その声は子供のように、弱々しく震えていた。
そんな話が、アイツの口から流れ出た。
最近調子がおかしいように見えたのは、そういうことだったらしい。
銅色の眼はぼんやりと中空を見つめ、うっすらと潤み。
頬はほんのりと、朱色に染まっていた。
また、その後の記憶は曖昧で、気付いたら寮まで戻っていたこと、
次の日のトレーナーは、今までの出来事が嘘のように
普段通りだったことを聞いた。
夢だったのかな、と尋ねる声に、知るわけないと返し、
部屋の明かりを消した。
暗闇のなかで、アイツの眠るベッドを見つめる。
アイツは変わった。間違いなく、変わった。
それが良い変化か、そうでないかはまだ判らない。
でも、たとえどちらであっても、アタシは願う。
「強いアイツ」とまた、競い合える日が来ることを。
拙い文章で申し訳ない。