現代、人間によって演奏されている非常に退屈な雅楽。その古譜をDTMで復元したらどんな音楽がでてくるかやってみた。
藤原師長(1138-1192)が1177以降に編集した箏と琵琶の雅楽曲集(仁智要録、三五要録)に収録されている催馬楽の一曲。
古代の日本にはチャンパ(現在のベトナム付近)伝来の林邑楽(仏教系舞楽)や中華帝国の宴会用の燕楽、朝鮮半島付近の国家の音楽、中華帝国西域の周辺国の音楽等が入ってきていた。それらを中華系の曲を中心に左方楽、朝鮮半島由来の曲を中心に右方楽としてまとめた。本来朝鮮半島由来の曲には箏が用いられていなかったが、古代日本では箏を付けていた。その右方楽の中に大道芸(散楽ー現在の能へ発展した)のBGMとして用いられた吉桿(きかん)という曲の旋律に歌詞をつけたのがこの曲。
歌の音程は箏、琵琶譜に歌詞が書かれているので、それから取った。フレーズの長さは歌譜の表記から推定した。
元ネタ
英国の音楽学者ピッケン博士のMusic from Tang court。
前世紀、日本に現存する雅楽の古譜の中に古代中華帝国の宴会用の曲(唐楽)が残存していることに気づいた博士はそれらを分析し、現代の日本の雅楽曲が元々のテンポより4~12倍遅く演奏されていると言及した。
ネット経由で見れる古譜を調べてみたら本当にそうだった。そこで唐楽以外の高麗楽、林邑楽について調べたらこちらも同様だった。歌ものの催馬楽については現在調査中。今のところ現在演奏されているものと古譜に書かれている曲はかなり異なる。
参考文献
仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
三五要録 宮内庁書陵部 伏931
催馬楽 宮内庁書陵部 08_50-11_61