2021/11/21 改訂版。旋律を修正してテンポを少し上げた。
現代、人間によって演奏されている非常に退屈な雅楽。その古譜をDTMで復元したらどんな音楽がでてくるかやってみた。
藤原師長(1138-1192)が1177以降に編集した箏と琵琶の雅楽曲集(仁智要録、三五要録)に収録されている催馬楽の一曲。
現代演奏されている同曲は昭和に復曲した譜を用いているため古譜とは異なる曲になっている。元になった古譜は源家のもので琵琶の古譜:三五要録伏931には掲載されていない。復曲された曲は名古屋市の無形文化財に指定されている。楽譜は桜人保存会が貸し出して雅音会が演奏している。昭和30年に当時の名古屋市長が信州で桜人の譜面を発見し、名古屋市の国文学者に依頼して復曲され、その譜が市に提供された。高麗曲の地久の破(明治撰定譜)を元にしている。
桜人考 魚山寺 羽塚堅子 昭和50年(楽譜が掲載されている)
歌の音程は箏、琵琶譜に歌詞が書かれているので、それから取った。フレーズの長さは歌譜の表記から推定した。
歌詞:
桜人 その舟ちぢめ 島津田を
十町(とまち)つくれる 見て帰り来んや
そよや 明日帰り来んや
そよや
ことをこそ 明日とも言わめ をち方に
妻去るせななれば 明日もさね来じや
そよや し明日もさね来じや
そよや
催馬樂歌評釋
千秋季隆
早稻田大學出版部
雑訳:
桜(愛知県の佐良郷)の女よ その舟止めて
十も町を作っている島津田を監督して帰って来るよ
そうだ 明日帰って来るよ
そうだよ
言葉では明日と言うけれど 別の所に妻を囲っている貴方だから
明日はまぁ帰ってこないわね。
そうよ 明々後日も帰ってこないわ。
そうよ
元ネタ
英国の音楽学者ピッケン博士のMusic from Tang court。
前世紀、日本に現存する雅楽の古譜の中に古代中華帝国の宴会用の曲(唐楽)が残存していることに気づいた博士はそれらを分析し、現代の日本の雅楽曲が元々のテンポより4~12倍遅く演奏されていると言及した。
参考文献
仁智要録 宮内庁書陵部 伏865
三五要録 宮内庁書陵部 伏931
催馬楽 宮内庁書陵部 08_50-11_61
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