2021年12月11日 7時20分 医療
年齢を重ねることに伴って起きやすい、生活習慣病などの人の体内では、老化して正常に働かなくなった細胞がたまっているとされます。順天堂大学などのグループは、マウスの実験でワクチンのように免疫を刺激する物質を投与して「老化細胞」を取り除くことができたと発表し、将来、老化に伴う病気の治療につながる可能性もあるとしています。
糖尿病や動脈硬化といった生活習慣病やアルツハイマー病などでは、老化して細胞分裂をしなくなった細胞がたまっていて、慢性的な炎症が起きていると考えられています。
順天堂大学などの研究グループは「老化細胞」の表面に「GPNMB」と呼ばれるたんぱく質が多く現れることに注目し、免疫の働きでこのたんぱく質を標的にして攻撃することで「老化細胞」を取り除けるのではないかと考えました。
そしてマウスを使った実験を行って、人工的に作った「GPNMB」の断片の物質をワクチンのように投与したところ、免疫細胞が刺激されて抗体が作られ、実際に「老化細胞」を取り除くことができたということです。
さらに、糖尿病や動脈硬化になったマウスでは症状が改善し、老化したマウスでは身体機能の低下が抑えられたとしています。
順天堂大学の南野徹教授は「将来的には、アルツハイマー病など加齢とともに増える病気の治療につながる可能性もあり、研究を進めていきたい」と話しています。