独自レギュなら何してもいいってRyobaママに教わったので初投稿です
前回:
sm39874072・レギュレーション
-Horudaちゃんとギャルの微笑ましいじゃれあいを目撃する
(机デコレーション/斬新な化粧)
-Horudaちゃんに勇気の一歩の後押しをする
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学園という名のジャングルには獣どもが棲まう。その閉じた小さなコミュニティの中では、人間が所詮知能を持った動物であることを明確に証明していた。
つまりは弱者は強者のために踊らされるのだ。弱者の悲鳴はカナリアの歌声だ。飼い主の顔を醜い笑顔にするために存在する。そしてカナリアと同様に、弱者は強者に生かされている事実を、皆は知った上で口をつぐむ。歌の上手いカナリアとバレないように。だから、私はカナリアから人間になったのだ。2度と人間共に歌わされることのないように。
恐らく、そのきっかけは何でもよかったのだ。悪い噂を聞いたとか、そんな理由だと思う。ただ、一人の人間の命令を受けて、退屈しのぎにオドオドとした少女を鳥籠に押し込んだのだ。罵声と暴力を与えれば彼女はヘタクソに歌った。内心、吐き気を催したが、私と同じ装いの人間たちはその歌声をどんな娯楽よりも楽しんでいるようだった。だから、私もその表情を模倣する他に選択肢などなかった。
その日も鳥籠の少女を皆で鳴かせて遊んでいた。だが突然、人間の一人が私に少女を罵れと言った。その目つきと声色から、その言葉が決して勧めではなく命令だと直ぐにわかった。だから私は「今すぐ自殺しろ」と言った。少女は黙って背を丸めて俯いた。その様子を皆で笑いあえば、私も人間の一員であると安心することができた。
清掃時間、学園の外で騒ぎが起きていた。群衆の見つめる先には、鳥籠の少女が折れた翼を携えたまま息絶えていた。彼女は空を舞ったのだ。私は憔悴して人間たちを見た。だが、人間たちはその亡骸を笑顔で写真に収めていた。その時、そのうちの一人が私に言った。「やるじゃん。アンタもようやく一人前だ」と。
学園は事故だと言い張った。カナリア達もそれに呼応する様に沈黙を貫いた。私にはそれが真実であったかどうかわからなかった。だが、恐れ慄いた瞳で私達を見る連中の姿が、葬られた真相を見抜いている様で堪らなかった。
その日から私は眠れなくなった。私は人間であることに誇りを持てず、ずっとカナリアでいるべきだったとさえ思った。
だから、私は再びカナリアになった。髪を戻し、目立たないようにアクセサリーを外した。
その様子を見た人間たち微笑んだ。あの日、鳥籠の少女に向けたように。
程なくして、私は歌い続けた。そしてその果てに、私が傷だらけの翼を広げて空を舞ったことは言うまでもない。