オペラオーにわけもわからないまま招待された夜の浜辺
見上げれば満天の星空
聞こえるのは波の音と眠ってしまったオペラオーとドトウの寝息くらい
(私なんでここにいるの…?)
何度目かわからない自問をする
答えを持つものは真っ先に眠ってしまったのだ
………
ついにはトレーナーさんの寝息も聞こえてきた
私が病院で眠っている間ずっと声を掛けていてくれたのだろう
体力も限界のはずだ……
名前のわからない感情が胸の奥から湧き出てくる
今は少しでも気を紛らわせたい
「隣いいですか?」
トップロードさんが隣に座る
「…‥あのときはごめんなさい、とても…心配をかけてしまって」
「はい、心配しました。アヤベさんがあのままいなくなってしまうと思ったんです」
実際…
トレーナーさんが見つけてくれなければ私は……
「ダービーのアヤベさんすごかったじゃないですか。こう…後ろからバーッてやってきて私とオペラオーさんにガーッと食らいついて……その…すごく…………すごかったんです」
情報量が少ない
「まるで流れ星みたいで………アヤベさんも流れ星みたいに…」
「堕ちて燃え尽きる?」
「……はい」
静寂
しかし突然
「ハーッハッハッハ!!!」
いつの間にか起きていたオペラオーによってあたりは喧騒に包まれた
トレーナーもドトウもこの騒音に起こされたようだ
「なかなかに詩的な表現だねトプロさん!だが1つ大きな勘違いをしているよ二人共」
オペラオーは水平線を背に仁王立ちし謳い上げる
「流星は闇に墜ちるのではないよ夜を切り裂いて飛ぶのさ」
彼女の背から光が昇る
皆が私を見る
その顔が朝日で照り映える
それは……
眩しくて……
眩しすぎたけど………
いつまでも見ていたいと思ったアドマイヤベガ