「今日はどの女の子にしますか?」
縦ストライプの黒スーツを着た店員は、そう言ってタブレットを見せてきた。
眩しいぐらいの明度で示された画面に展開されるブラウザ上には、目を黒い線で隠されたり、顔の鼻から下をモザイク処理された女の子達の写真が並ぶ。
いずれの娘も共通して、その女性らしさをこれでもかと強調するような体勢で写っていた。媚びるように、せがむように。
思わず、彼女らが身に纏う薄布の下に忍ばせた興奮へと想像を巡らす。
と、一人の娘が目に留まった。長いツインテールの女の子。他の写真と同じく、扇情的に身体をくねらせた姿勢をとっているが、ややぎこちない。
――この子、見たことがあるような――。
妙に惹かれて、気付けばその写真を指差していた。店員はすぐに、懐からPHSを出して何処かに電話をかける。
幾らかのやり取りの後、電話を切った店員は私を見て、のっぺりとした笑みを浮かべ頷いた。
「お客さんついてますね。すぐにでもご案内できますよ」
その言葉に疼いたのは、心臓だけではなかったことをここに告白する。
ボカコレ2022春の作品です。
春の意味が違う