2022年4月20日 18時16分 エンタメ
およそ120年前に撮影され、映画フィルムとして初めて国の重要文化財に指定された映画「紅葉狩」で、映像がより鮮明な最古のフィルムが見つかり、来月から国立映画アーカイブで開かれる企画展で上映されることになりました。
「紅葉狩」は1899年に撮影された歌舞伎の九代目、市川團十郎と五代目、尾上菊五郎の舞台をおさめた映画で、複製された1927年製のフィルムが、2009年に映画のフィルムとして初めて国の重要文化財に指定されています。
今回、新たに見つかった「紅葉狩」のフィルムは、1927年よりもさらに古い年に複製され、映像全体に赤みがかけられていて、複製回数が少ないため映像が鮮やかだということです。
これまでのフィルムでは確認されていなかったシーンも一部含まれていて、俳優の細かい所作などが鮮明に映し出されています。
また、明治から昭和にかけて上方歌舞伎で活躍した初代・中村鴈治郎を長男が撮影したプライベートフィルムも見つかり、舞台の名場面や盛大に行われた葬儀の様子なども映っていました。
歌舞伎に詳しい早稲田大学文学部の児玉竜一教授は「これまで完全版だと思われていた紅葉狩のフィルムよりもさらに古いもので、一部、知られていなかった場面もあり、貴重な資料だ」と話していました。
国立映画アーカイブでは、今回見つかったフィルムをデジタル復元したものを、来月3日から開かれる企画展「発掘された映画たち2022」で上映するということです。