Youtubeからの転載です(
https://www.youtube.com/watch?v=-_z5eHCmslY)。
1941年、ブリテンは詩人W・H・オーデンが書いた台本に基づき、歌劇「ポール・バニヤン」作品17
を作曲しました。これが、ブリテンが初めて手掛けた歌劇となります。
題名の「ポール・バニヤン」とは、アメリカやカナダの民話に登場する、伝説上の木こりの巨人の名
前です。アメリカ開拓期において、彼は数多くの森林を切り開いてアメリカ発展の礎になったと伝え
られており、本作はそんなポールの活躍を伝える複数の民話をつなぎ合わせ、2幕ものの歌劇に編集
されています。音楽的には、アメリカの民謡(フォーク・ソング)やブルース、讃美歌が盛り込まれ
ており、大学に所属する管弦楽団などのセミプロの音楽団体が演奏する目的のため、わかりやすく平
易な様式で作況されています。
1941年5月5日にコロンビア大学で「ポール・バニヤン」は初演されましたが、反応は良いものではな
く、作品はそのまま忘れられました。ブリテンは1975年に本作の改訂を行い、これにより演奏や録音
の機会が徐々に増えていきますが、それでも彼の歌劇の代表作とされる「ピーター・グライムズ」や
「カーリュー・リバー」に比べると評価・知名度が劣る習作という評価は払拭されていません。
なお、この歌劇には序奏部はあるものの「序曲」は存在しておらず、後にイギリスの作曲家コリン・
マシューズが作品中の旋律を抜き出して演奏会用序曲に編曲しています。
スチュアート・ベッドフォード指揮
ロンドン交響楽団